知られざるバースプランの世界
現在私は第二子妊娠8か月。
産院から、次の検診までにバースプランを作成しておいてくださいね、と言われていたのをすっかり忘れていました。第一子のときのことを振り返りつつ、今回のバースプランについて考えてみたいと思います。
初めてのバースプラン作成に悩んでいる方は「バースプラン 書き方」などと検索すればたくさんの結果が出てきます。こちらでは私の実体験、友人の実体験の一部をご紹介したいと思います。
バースプランとは
バースプランとは読んで字のごとく、出産の際にどのような状況や方法で出産を行いたいか、分娩室や手術室、産後の病室ではどのように過ごしたいか、という計画です。
第一子のときはどうしたか
今回のバースプランを決めるにあたり第一子のときのバースプランを振り返ってみることにしました。
当時、初めて書くバースプラン、どういったことを書いていいかがわからず、ネットで「バースプラン 書き方」などと検索し、例を参考にしながら自分だったらどうしたいか考えて完成させました。
それらはあくまで何も問題がなかったときの希望であり、その時の状況次第で少しでも赤ちゃんや母体に悪影響のある可能性があるのであれば無視してほしいと書き添えました。そんなこと書かなくても当然のことなのだと思いますが念のため。
産院によってできることできないことがあるため、私の通っている産院では完成したバースプランを元に、助産師さんとの面談を実施しています。
第一子のバースプランとその結果
以下に当時書いたバースプランと、それがどのくらい現実のものになったかを記します。
(〇:できた △:一部できた ×:できなかった)
出産
△自然に陣痛が来たタイミングで経膣でお産したい
→陣痛は自然に来ましたが途中で弱くなってしまい陣痛促進剤を使用しました。
〇会陰が避けてしまうよりは切って欲しい
→がっつり切っていただきました。
〇夫の立ち会いは希望しない
→予定通り立ち会いはしませんでした。
〇無痛(和痛)分娩がしたい
→安全第一で麻酔を施していただきました。
出産直後
〇カンガルーケア*1を行いたい
→産んでから少し時間がかかりましたが適切な処置を行った後すぐに胸の上で抱かせていただきました。
〇夫を呼んで子供と面会させたい
→一度夫が帰ってしまったタイミングだったので、出産直後は叶いませんでしたが分娩室にいる間に面会することができました。
〇自分の胎盤を見たい
→産後しばらくしてから見せていただきました。本音は写真を撮りたかったのですが遠慮しておきました。
病室に戻ってから
〇できるだけ早く母乳を与えたい
→出産したその日の朝から始めました。
〇できれば完全母乳で育てたい
→入院中何度かミルクをいただきましたがほとんど母乳で過ごしました。
〇母子同室を希望する
→産後初めての夜、ほとんど眠らずに赤ちゃんの世話をしていたところ、助産師さんに一日は1人でしっかり睡眠を取った方が良いとアドバイスされ、一晩だけ別室で過ごしました。
以上のように、バースプランで希望したことのほとんどが実現しました。陣痛促進剤の使用など、医学的に必要と判断されることなどは当然、医師の判断にお任せすることになります。
また私の産院は、出産直前に気が変わっても対応してくれる柔軟な姿勢でした。例えば無痛分娩のリスクについて心配で、利用するかどうか決めかねているような状況でも、事前に麻酔医の診断を受け問題がなく、無痛分娩について必要な説明を受けておけば、当日に決めてもOKということでした。無痛分娩は計画出産のみ受け付けている産院も多い中、迷っている方にはとてもうれしいシステムだと思います。
今回のバースプラン
前回のバースプランを改めて見直してみると、今回もそこまで大きく変えるところはないかなと思いました。
前回との大きな違いは、退院後すぐに赤ちゃんの世話と上の子の世話をしなければならないということ。
「出産直後に母子同室を希望」としていた部分は、「ゆっくり体を休めることを優先したい」という内容に変更しようと思います。いざ本番になったら少しでも赤ちゃんと一緒にいたくなって、また頑張ってしまう気もしますが。
そしてこのコロナ禍、おそらく実現は難しいとは思うのですが、「赤ちゃん、夫と上の子の面会をできるだけ早い段階でしたい」ということも付け加えようと思っています。できるだけ早くに、4人家族になったね、とじんわり温かい時間を過ごせたらと願います。
その他の選択肢
私のバースプランは以上のようにシンプルなものですが世の中には多彩なバースプランがあるようです。
音楽、香りでリラックスしたい
友人の話等で最もメジャーなのが、音楽をかけたりアロマを炊いたりという希望です。私は静かな無臭空間で集中したいと考えましたが、人によっては自分の一番リラックスできる音楽、香りの中で出産したい方も多いようです。
私も一時は音楽でもかけようかと考えたのですが、背伸びしてクラシックにしてもなんだかおかしいですし、本当に好きな洋楽にすると曲調や歌詞がふさわしくない気がしてしまい、潔く無音を選びました。
へその緒を切りたい
よく聞くバースプランの項目に、自分でへその緒を切りたいというものもあります。
中には旦那さんと一緒に切ったという人もいるそうです。一生のうちに何度もないことですから気持ちはわかるのですが、個人的には恐怖が勝ってしまいます。抵抗のない方にとっては、良い思い出になりそうです。
写真やビデオを取りたい
こちらも定番の項目です。特にコロナ禍で立ち会いや面会が禁止されている今日、写真やビデオを自分で撮ったり、看護師さんにお願いすることが多いかもしれません。
私の第一子のときは、写真を撮るなんてことはすっかり頭から抜け落ちており、助産師さんに促されてやっと撮るといった有り様でした。
フリースタイル分娩
一番仲の良い同僚がこのフリースタイル分娩を選びました。
名称からして斬新だと思ってしまう私は古い人間でしょうか。分娩台の上だけではなく、お布団を利用したり、横向きになったり四つん這いになったり、お母さんが一番楽な姿勢を自由に取りながらの出産だそうです。
ちなみに私の同僚は、陣痛が来ると立ち合いの旦那さんに支えてもらいながら、分娩室を痛みに耐えながらくまなく動き回った末に、最終的には分娩台の上で四つん這いになって出産したと言っていました。
水中分娩
水中出産もフリースタイル分娩の一種だそうですが、こちらも私の友人の一人が体験しました。私の想像では大きなプールのようなところで出産するイメージだったのですが、実際にはバスタブくらいのプールの中で出産したそうです。羊水と同程度の塩分濃度のお湯の中、その名の通り水中で赤ちゃんを産むので、分娩台で行うよりもリスクを伴い、医師の許可が下りた人だけができるそうです。
友人は、出産に備えてイメージトレーニングや、下半身の筋力トレーニング等をして備えたそうです。結果、リラックスして出産でき、かけがえのない思い出となったと言っていました。
さいごに
フリースタイル分娩や水中分娩等のことを、アクティブバースと呼び、医療介入を最小限に、母親の産む力を最大限に利用した分娩方法だそうです。ここまで書いていたら、なんだかアクティブバースって魅力的だな、と思い始めてしまいました。
私は残念ながらアクティブバースが選択できない産院ですが、これから産院を選ぶ方、子供を持つ予定の方は、幅広い選択肢でいろいろイメージしてみるのも楽しそうです。今回書いたもの以外にも多様な選択肢がありますし、これからもっと増えていくかもしれません。
現在は残念ながらこのコロナ禍で新生児と家族の面会さえ禁止の状態ですから、選べるバースプランも縮小しているかもしれませんが。
一刻も早くコロナが収まり、孫を抱くおじいちゃんおばあちゃんの笑顔が見られる世の中になることを願っています。
読んでいただき、ありがとうございました。
*1:早期母子接触:出生直後の赤ちゃんを裸にして、お母さんの胸の上skin to skinでしばらく乗せて管理することです。出産後、母子は共に過ごすことは自然であり、母子関係に良い影響を及ぼします。特に出産後早期母子接触は、母乳育児、お子さんとお母さんの心身の安定に効果があります。30分以上の実施を原則としますが、お子さんの状態、お母さんの分娩時の疲労など、状況に合わせて実施していきます。
出生直後のお子さんは、胎外生活への適応をする、不安定で変化しやすい時期でもあります。急変は約1万人に1人、重篤な事例は約5万人に1人発生すると報告されています。したがって、触れ合いを行っている間は、助産師(看護スタッフ)が十分見守るあるいはモニターを装着するとともに、抱き方などを指導いたします。貴方が早期母子接触を希望する場合は、バースプランに記載していただくようにお願いいたします。
順天堂大学医院産科ホームページより